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山崎隆之七段指導対局(2010/10/30)

2010年10月30日。世の中はハロウィンでしょうか。
びゃっきーはその日、山崎隆之七段の指導対局を予約していたので、千駄ヶ谷にある将棋会館へ向かいました。
山崎隆之七段は、びゃっきーが将棋に興味を持ち始めたときに、連勝記録を伸ばしていた若手棋士でそれ以来ずっと応援している棋士です。
関西所属棋士のため、東京で出会う機会は超稀。
五年位前に朝日オープン杯の挑戦者になった際、所沢で行われた前夜祭の抽選に当たったことがあったのですが、あいにく当日仕事のため、キャンセルせざるを得ない状況に。
それ以来縁が全くなかったので、この機会を逃すと、もう一生縁がないかも、ということで、速攻指導対局を申し込みました。


千駄ヶ谷駅前。
天気はあいにくの台風模様。
なぁ、台風なんで10月末に来てしまうのん?
足取りが重いです。
そして、山崎七段が前日にとても大事な対局を落としてしまいました。
気分も重いです。
とはいえ、せっかくの機会です。
ここを逃したら、会う機会がもう無いかも。
行きます。
駅前から線路に直角に通りを歩いてずっと行くと、鳩森神社というのがあって、その裏手辺りに、東京将棋会館があります。
以前にここら辺をぶらついたことがあって、チェックしていたので、迷わずに来られました。


東京将棋会館入り口。
「14:00ぐらいまでには来ておいてください」と言われていたので、15分くらい前に到着。
1階に受け付けがないのでどうしていいのかわからない。
購買みたいなところで聞いたところ、2階に道場があるから直接行ってくれとのこと。
2階に上がると道場がありました。
台風なのに割と盛況。
ガキがたくさんいます。
道場に指導対局に来たことを伝えると、まだ順番まで時間がかかるようで、15時過ぎになってしまうとのこと。
「級や段はありますか?」と聞かれましたが、そんなものはありません。
負けるのが嫌なので、実戦経験がほとんどありません。
ネット将棋の初心者コースで3試合して1勝2敗で、それ以降は妻のお父さんと縁台将棋を年に3〜4回指す程度。
完全に「山崎七段に会いに来ただけのミーハー」状態です。
「時間があるので、それまでに級の認定とかできますけど」と言われましたが、そこいらのガキに負けて、ショボイ級に認定されるのなんか、願い下げです。
丁重にお断りしました。
「では、入場料1,400円になります」
えぇ!? そんなシステム知らんよ。
指導対局料が3,500円と聞いていましたが、それ以外に1,400円かかるらしいです。
つまり入園料が1,400円で、アトラクションが3,500円みたいなもんですな。
まぁ、システムをよく理解していなかった自分が悪いので、黙って払いました。
それから待つこと2時間。
15時過ぎどころか、16時過ぎにようやく順番が回ってきました。
そんなところもアトラクションっポイ。
おかげで待っている間に、本が1冊読み終わってしまいました。

で、ここからは少しマニアックに、対局内容になります。
山崎七段の写真を撮れなかったことと、局面をきちんと覚えられないから、対局内容の解説もしようがないという二点で、レポートはやめようと思っていました。
が、まぁ正直なところ、誰もこの対局については知らないのだし、なんとなく要所がぼんやりと説明できればいいか、ということで、対局内容の解説にしました。
なので、局面には間違いがある可能性が高いです。
まぁなんとなくで見てください。


左右がスカスカ。
「よろしくお願いします」と挨拶して席につきました。
山崎七段は一度に3人ずつ相手をしているので、忙しそうです。
なので、のんびりお話しながら指すとかそんなことはできそうもありません。
写真をお願いするなんて雰囲気もちょっとありません。
「手合いはどうしましょうか」と聞かれたので、「6枚落ちでお願いします」と答えました。
「手合い」というのはまぁハンディキャップのことです。
図を見ていただけば、そのハンディキャップ具合がわかるでしょう。
「飛車」「角」「桂」「香」を落としてもらうというすごいハンデ。
山崎七段も「えぇ!?」と言いました。
そう、つまり「6枚落ち」などという初心者は指導対局になど来ないわけです。
なので、「4枚落ちでは負けると思います」と答えました。
「とりあえずじゃあ、まぁ、やってみましょうか」ということでスタートです。


三間飛車。
通常は、左右がスカスカなので、どちらかの端に攻め駒を集中させて、突破し、飛車を成るという作戦がこの手合いでは定跡となっています。
が、そんな作戦は普通の将棋には出て来ないので、却下。
こちらは別に級位を上げて行こうという思惑はないのです。
逆転の発想。
こういう手合いの場合、端から攻めてくるなんてことは相手にはできません。
真ん中から全体に盛り上がってくる気だろうから、それを全部抑えこみゃいいんだろ、ということで、端には手をかけずにその分中央に手をかける作戦。
今考えると、ちっとも作戦になってません。
駒に差があったって、プロを抑え込むなんてオレにはできっこないです。
ハンデをもらってるのに、ハンデを半分放棄している感じ。
で、ついでに戦型はどうしようかと思い、個人的には居飛車の将棋が肌に合っているのですが、振り飛車の「捌く」という感覚を身に付けないと、将棋が強くなりそうもないので、振り飛車にしてみました。
本当は四間飛車にしたかったのですが、相手に角がないのに角道を止めるのもバカバカしく、三間飛車に。
よくわからないという人は図を見てください。
左から3つ目のラインに飛車を持っていくので三間飛車です。


結局四間に振り直してるし
図は少し進んだ局面。
こちらから「6五歩」として、相手が「同歩」としたところ。
なんだか居飛車棒銀のようです。
守りは、本当は「美濃囲い」にしようと思ったのですが、なんか相手の攻めが早いような気がして、こちらも「銀」を繰り出し「位」を確保。
そもそも実戦経験がないので、序盤の遅早がちっともわかりません。
なんか手遅れになりそうで、ついつい「位」を取りに。
「位」とか気にしてるところが、たぶん振り飛車感覚じゃない、もうダメな気がします。
そんなこんなで「中途半端な船囲い」のようなことに。
ただ、「駒組みいいですね」と山崎七段に言ってもらえたのが、唯一の救い。 で、攻めは本当に棒銀のよう。
うーん、ここで、ヘンな筋が目に付きました。


結局四間に振り直してる
(1)まず狙いは赤線。飛車を転回して、成ろうと画策。
(2)すると相手は「2二」に「王」を寄って、それを防ぎます(紫線)。
(3)そうすると、「王」が「角」のラインに入るため(青線)、緑線の「歩」を突いた場合に、同歩と取れないから攻められる。

よし、やってみようということで、「6五同飛」と取ったところで、相手は飛車先を止める「6四歩」。
そこで、先ほどの手順に踏み込んでいいかどうかもう一度考えていたところ、「銀」が「3三」に上がると、どうにもならない気がしてきました。
「うーん」と思っていると山崎七段から指導「待った」が。
「飛車だけで攻めると、なかなか攻めきれませんから、ここは同飛ではなく、別の手を考えましょう」
結局「棒銀」です。
ただ、悩んでいたのがそこだと思って勘違いさせておくのも悪いと思い、読み筋を伝えました。
「おぉ、よく読んでますね。でも「銀」が「3三」に上がれば」「えぇ、そこで悩んでたんです」
で、棒銀に戻りました。


ここらへんはもうヤバイと直感が告げている
その後調子よく攻め、「銀」得になり、「金」と刺し違えて「金」得になりました。
が、ヘボをやったため、大駒の動きを封じられ、なんだかイヤな展開に。
なんとか打開しようと考えてどうにもならなくなって、「7六歩」「同歩」で角筋を通しました。
ここから「6五銀打」が狙いです。
「角」が「王」を狙っているので「同銀」とは取れません。
「同金」ですが、それに「同飛」と走ります。
そしてやはり「角」が「王」を狙っているので「同銀」とは取れません。
そこから「飛車」が転回してどこかに成ろうということ。
が、その間に一度「7七歩成」「同桂」が挟まるので、その後、「桂」が狙われる展開になります。
自分の中ではそれはもうおかしいことになっていて、苦肉の策という感じ。
振り飛車っポイ捌きではありますが、期待していたものじゃない。
しかし他に手段もなく「6五銀打」。
すると山崎七段から「おぉ、それが正解です。それが打てるならもう」みたいなことを言われました。
が、「これはもうダメかもしれない」と思っていました。


8枚落ちにすればよかった
それから局面は進んで、最終局面。
本当にダメになっています。
相手の持ち駒を考えても「入玉」は決定的です。
「入玉」を阻止したいので、「金」で頭を抑えるとか、「竜」を引いてどうにかするとか、したいのですが、「7六銀」が「王」をよく守っています。
もう「なんかないか、なんかないか」必死です。
そこでなんとか「お願い筋」を発見。
もしかしたら、なんとかなるかも。
「6八桂」で「銀」を狙います。
「銀」がどけば、「竜」を引くなり「金」を打つなりでなんとかならないか。
山崎七段は「7七銀成」。
やったー、わざとそうしてくれたのかどうかわからないけど、それはお願い筋だー!
「6七歩打ち」とします。
もし「成銀」が「歩」を取れば、「7六金打」からの詰み、「成銀」が「桂」を取るなら「6六金打」からの詰み。
「うーん、厳しいですね」と山崎七段。
そこで、次の一手が。


うわー、混沌!
「7五銀打」
あー、終わりじゃないのかー!
くわー、どうしていいのかわからないー!
仕方なしに「6三馬」
次に「7四馬」でも「7四竜」でも詰みです。
が、正直もうダメだと思いました。
持ち駒がもう一つあります。
実のところ、「7三金打」で、その後どうするかよくわからない。
とそこで、「6八成銀」。
うわー、なんか優しいー。
あとは「6六金打」「同銀」「7四竜」で詰み。
無事詰みになりました。
なんか勝たせてもらった感でいっぱい。
6枚落ちでもこんなかー。
対局ってしてみないとわからんねー。
終わった後「桂打ちから歩打ちはいいですね。あの場面ではちょっと(あなたが)勝ちにくいことになったかなと思いました。あそこまで指せるなら、6枚落ちは卒業でしょう。最後の詰みもノーヒントでは厳しいかなと思ったのですが」と言っていただきました。
うーん、緩めていただきましたが。
「6枚落ちは普通端を破ってからどう寄せるかということになるのですが、今回は端が全然関係ありませんでしたから、4枚落ちで大丈夫ですよ」
うーん、「桂」が入ると攻撃力が上がるので、そうは思えませんが。

山崎七段もやりにくかったとは思いますが、本当にありがとうございました。
本は読んだりしているので、ヘンな筋が見えたり、詰め将棋はやってたので、詰め手筋は少し分かったりするのです。
しかし、実戦経験がないので、途中が全然分からんのです。
でもとても楽しい時間を過ごせました。
山崎七段の関東圏イベントを今後ともチェックしていきますので、がんばってください。
まぁ、このレポが目にとまることはないと思いますが。
とりあえず、日本シリーズ決勝の山崎×羽生戦を観戦に行くかな。

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