[ゲームメモ]
 このゲームはすごい!
 西風の狂詩曲
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このゲームはすごい! 西風の狂詩曲 (2004/02/03)
パソコン版できっと人気を博していたと思われる「西風の狂詩曲」。実はよく知らないけど。たぶん。それがとうとうPS2で発売! 予約して即行買って、ちょっとやってみました。と、実にこのゲームはすごいのです。このゲームのすごいところを大公開!

●「西風の狂詩曲」のここがすごい!
オープニングムービーがない!
起動して待っていてもなかなかオープニングが始まりません。最近のゴテゴテしたオープニングムービーを一切合財カットするなど、並の思いきりじゃできないです。

壮大なバックグラウンド!
今どき珍しく大河ドラマのような壮大なバックグラウンドです。ゲームをスタートさせると、スターウォーズよろしく歴史的背景が文章スクロールで解説されます。うおーい、ちょっと待ってくれぃという暇もなく、流れ去ります。プレイヤーは取り残されます。きっと説明書にそこらへんのことは書いてあるんだろう、と気を取り直しますが、実はそれほど書いてありません。プレイヤーは取り残されっぱなしです。どうせ読まないからいいですけど。それに読むと間違ったことが書いてあります。チェザレの野望を阻止することが主人公の目標ですって。結果はそうなるのかもしれないけどさ。彼は愛とか復讐とか個人的な理由で動いてるのであって、国家に対する理想とか正義とかそんなので動いちゃいないよ。

主人公は誰?
パッケージの絵の後ろの方にたたずむ、怪しげな白髪の赤い目をした黒マントの男。これが主人公です。これは敵の親玉に違いない、と思って間違いない構図。「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」をやったことがある人なら、あの主人公の「アルカード」を老けさした感じ。ロードス島を知っている人なら、「黒衣の将軍アシュラム」を老けさした感じです。ゲーム中ではそうでもないのですが、とにかくパッケージを見ると主人公が誰だかわかりません。
さらに初回特典としてプレミアサウンドトラックとかいうのがついてくるのですが、ピラリと入っているその収録曲リストを見るとさらに混乱します。クリスという物語途中から現れる性別を偽っている女の子のグラフィックが、ど真ん中に大きく配置されています。どう見てもこいつが主人公です。リストの上部に4人分グラフィックが配置されていて、──この中にもいません。さらに小さく下の方に4人分のグラフィックが配置されていて、やあ、ここにいましたね。さあ、主人公は誰でしょう? ちなみに真ん中にいる少女の本名はクリスチーナですが、チャッペルで蹴りを入れてきたりはしません。

14年間の苦痛を共に!
この物語の最初は、主人公が地下牢に捕らえられているところへ、革命軍が乗り込んできて、たまたま助け出される、ということになっています。主人公は無実の罪で14年間もの間、地下牢に閉じ込められています。助け出された後、その14年間を、無実の罪を着せられる前夜から延々振り返らされてしまいます。ほとんど操作の自由がありません。操作の自由は、やたら人が多くて全員に話し掛ける気も起きないパーティ会場だとか、間が持たなくて挿入されたようなどうでもいい採掘場とかです。いっそのことそれすら自由がなくてもよかった。その分前談が短くなったかもしれない。とにかく前談だけで一時間は軽く越します。

無口でかっこいい主人公!
嫌になるほど人が多いです。慣れない内は、とても全員と話をする気になんかなりません。しかもどいつもこいつもどーでもいーよーなことばっかり話すので、知らず主人公は人付き合いがヘタになっていきます。
しかも途中でこいつらは重要なことを2回目や3回目の会話で話すことがわかってきます。ほぼ全てのキャラクター(街の人とかですら)が、3回に分けてしゃべります。「ここは○○の街です」で終わらないのです。重要なのはその後だったりします。最初のパーティ会場で大勢の人に「おめでとうございます」と、言われたり、なんか中途半端な話を聞いたりしてる内にだんだんとそのことに気づいてきますが、気づいたときにはもはや多くの人に挨拶を済ませてしまった後で、もう一度挨拶しようなどという気はさらさら起きません。

人間は道具を手にして強くなった!
苦痛の14年間の途中で、ツルハシ1本渡されて採掘場に置き去りにされます。主人公が親切に「敵に襲われたときのためにツルハシを装備しておかないと……」みたいなことを言ってくれます。おー、親切設計と思いつつ、ステータス画面を表示して、主人公を選択して、「魔法」「必殺技」「技能」「装備」という4つのボタンの中から「装備」まで方向キーで移動して、○ボタンを押して装備一覧にカーソルが移ります。ところがどーにもツルハシが選択できません。うーん。迷った挙句に、「もう装備してるってことかしら」と先ほどのセリフに納得できないものを感じながらステータス画面を閉じます。さあ、行くぞ! と張りきって洞窟を進むとカエルが一匹出てきます。最初の敵です。戦ってみます。やあ! 10ポイントダメージを与えたようです。ゲコ。100ポイントのダメージを与えてきました。退却! そっこう逃げます。装備できてない、装備できてない。慌ててマニュアルを探します。装備のしかたなど書いてありません。ツルハシは剣じゃないからダメなのか? 逃げ回るのが正解か? いや、ここでは別にそれでもいいのですが。ようやく数十分後にマニュアルのある部分が目に入ってきます。「実践テク」とか書いてある「コラム」みたいなところです。そこに「キャラクターの装備を変更する」と書いてあります。なになにステータス画面からキャラクターを選択して、その後□ボタンを押す。ふんふん。すると、おー! WEAPON欄にカーソルが移った! ──そんなん知るか! そりゃ「実践テク」じゃなくて「基本操作」だろ。

苦労は14年間じゃ終わらない!
地下牢から無事脱出できた主人公。その後砂漠で行き倒れ、海で難破して行き倒れ、行き倒れまくりです。その間操作できるのは街の中だけです。しかも所持金はゼロなので、できることと言ったら主人公の苦手な会話だけです。それが1時間ぐらい続きます。ようやく変な島に行き着くと、変なばあさんに剣の修業をさせられます。島をちょっと進むと強制的に修業に戻り、もう少し先まで進むと強制的に修業に戻り、さらにもう少し進むと強制的に修業に戻り、主人公はどうか知りませんが、プレイヤーは実に不自由な思いをします。この修行が終わるとプレイヤーはこの長いなが〜い前談の不自由さからようやく開放されます。ここまでに費やす時間は2時間〜3時間といったところでしょうか。壮大にもほどがあります。

もうこのぐらいにしておきましょうか。とにかくすごいゲームです。これだけ読むと途中リタイアしてしまうような気がしますが、その後寝食を忘れてずっとやっています。そこがこのゲームの一番すごいところです。最後に本気ですごいところを一つ。いや、今までのも十分すごいんですけれども。

武器に対するこだわりがすごい!
このゲームは本当にこの一点突破で成り立っています。武器のステータスに「攻撃力」「命中率」の他に「HP」「防御力」「限界力」なんてものまであります。
「HP」というのは、それこそ武器のヒットポイントで、これがゼロになると武器は壊れてしまいます。宿屋の代わりに武器やで修理して回復します。
「防御力」というのは、その名のとおり防御力。そう、このゲームは剣で防御します。鎧や盾も出てきますが、そんなものは「××の指輪」とかとそう変わりません。いや、むしろそれ以下です。アクセサリー以下です、キーホルダーです。防御も武器にさせる、これによって武器への愛情が一層アップすること間違いなしです。
「限界力」というのは、今度は武器自体の防御力みたいなものでしょうか。これを超えた攻撃を受けると「HP」が1減ります。
「攻撃力」の強い武器は大抵「防御力」や「限界力」が低く逆に「防御力」や「限界力」が高いものは「攻撃力」が弱く、これらの武器を使いわけることで戦闘を行います。
いや、この使い分けに「必殺技」が加わると、スッキリすんですよ。「防御力」の高い武器で耐えて「気力」をためて、「攻撃力」の強い武器に変えて一気に必殺技を開放! このゲームは本当にそれに尽きます。話が進んでくると、全部が強い「伝説の剣」みたいのが出てきて、このシステムを根底から破壊しますが、それはそれで手に入ると嬉しいというか。その頃には確実に立派な武器コレクター(特に剣)と化しているでしょう。

そんなこんなでやり続けていますが、どうやらマルチエンディングな模様。武器が全部集まっちゃったら全部のエンディングは見なさそうだよなぁ……。


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